消費者被害を防ぐことはできるのか?
近年、振り込め詐欺やリフォーム詐欺などさまざまな種類の詐欺が横行しています。
もし、万が一詐欺に引っかかってしまったときには、任意後見制度で防ぐことができるのか、また、詐欺被害にあってしまったときに対処できるのでしょうか。
取消権・同意権はなし
法定後見の場合、後見人等には取消権・同意権があります。取消権とは、日常生活に関する行為を除き、被後見人の行為を取り消すことができるもので、同意権とは、被保佐人は重要な行為をする場合には、保佐人の同意を得なければすることができないというものです。
任意後見制度にはこういった取消権・同意権はありません。だから消費者被害に対処できないかといわれればそうではありません。
確かに、委任者が消費者被害にあったとしても、その売買契約などを委任者の無能力・行為能力の制限を理由に取り消すことはできません。
消費者被害に遭うことを想定して契約書を作成する
任意後見人には、取消権・同意権がないため、委任者が消費者被害に遭ったときに備えて、任意後見人に代理権を与えておけばよいのです。
例えば、詐欺によって商品を購入させられてしまった場合に備えて、契約の解除、受領した商品の返還、代金の返還請求などを代理権として任意後見人に与えておきます。
このほかリフォーム詐欺や金融商品に関する詐欺などに対応した代理権をしっかり盛り込んでおくと安心です。
ただし、契約に盛り込んでいる事項以外はその対象にはならないので、専門家に契約書を作成してもらうのがよいでしょう。