後見人の報酬はいくらかかりますか?
みなさん、こんにちは。
東京・渋谷の司法書士の新宮信之です。
月に10件以上後見に関するご相談を受けていますが、親族の方が後見人にならず第三者がなる場合に、必ず後見人の報酬はいくらかかるのですか?と聞かれます。
多くのケースが、親族の方が後見人になります。そして、この場合でも報酬をもらおうと思えば、もらうことは可能ですが、家族同士なので控える方がほとんどです。
親族に後見人となる人がいない、あるいは家族同士で意見の対立がある場合には、司法書士・弁護士などの法律の専門家が後見人になることがあります。
そうすると、やはり気になるのが報酬です。司法書士などの専門家が後見人を努める案件は、全体の60パーセント弱となっています。
<成年後見人>
成年後見人が、通常の後見事務を行った場合の報酬(これを「基本報酬」と呼びます。)の目安となる額は、月額2万円です。
ただし、管理財産額(預貯金及び有価証券等の流動資産の合計額)が高額な場合には、財産管理事務が複雑、困難になる場合が多いので、管理財産額が1000万 円を超え5000万円以下の場合には基本報酬額を月額3万円~4万円、管理財産、額が5000万円を超える場合には基本報酬額を月額5万円~6万円とします。
※保佐人・補助人も同様となります。
<成年後見監督人>
成年後見監督人が、通常の後見監督事務を行った場合の報酬(基本報酬)の目安となる額は、管理財産額が5000万円以下の場合には月額1万円~2万円、管理財産額が5000万円を超える場合には月額2万5000円~3万円とします。
※保佐監督人・補助監督人・任意後見監督人も同様です。
不動産の売却や身上監護等で特別の業務を行った場合、後見人の負担は増大します。その分、報酬にも反映される仕組みとなっています。
この場合、基本報酬額の50パーセントの範囲内で報酬が付加されます。
いずれにしても、後見人等の報酬額を決定するのは裁判所であり、本人の財産が少なければ当然、その分報酬も少なくなり、報酬の面で後見制度の利用を躊躇してしまうということがないように配慮されているというのが実務となっています。
専門家の報酬を高いとみるか安いとみるかですが、親族側からすれば間違いなく高いとの声があがります。逆に専門家からすると安いという声があがります。司法書士のなかでも後見業務は、業務量に比べて報酬が安いのでやりたくないという先生もいます。司法書士の主力業務は「登記業務」ですが、それに比べたら、やりたくないという気持ちも分からないでもありません。今現在、後見人のなり手が不足しており市民後見人制度というものが動き出しています。 しかし、専門的な知識を要する後見業務ははやりは司法書士や弁護士がなるべきだと思います。
参考資料 東京家庭裁判所 平成25年1月1日付「成年後見人等の報酬額のめやす」