後見監督人が選任されるケース
みなさん、こんにちは。
東京・渋谷の司法書士の新宮信之です。
家庭裁判所は、必要があると認めるときは、本人やその家族の請求によって、 成年後見人監督人を選任することができます。
また、裁判所が独自の判断(職権)で選任することもできます。
名前のとおり、後見人を監督する役割を果たす人の事です。
実際に、後見監督人後見監督人が選任されるケースは次の3つだと言われています。
①本人の親族間に争いがあり、後見人と相反する意見や立場にある親族を監督人に選任するケース
②親族と関係のない第三者を後見人として選任した場合で、 本人の親族を監督人として選任するケース
③後見人を本人の親族に選任した場合に、司法書士や弁護士を監督人として選任するケース
実務的によるあるケースは③で、多くの不動産を本人が所有している場合やこれから遺産分割協議を行う場合など、法的に難しい時には、専門家が監督人として選任されるケースが多いようです。
成年後見の申立は何度もやっていますが、裁判所によっても異なりますし、当然事案によってさまざまでありますので、監督人が選任されるかどうかは、結局裁判所の判断によります。
最近は、親族後見人が定期報告をしない、あるいはしても報告が杜撰である、不正の疑いがあるといった場合に、司法書士などの専門家が監督人に付くことがあります。調査人という制度もありますが、監督人のほうが多い気がします。多くの場合、その親族後見人にとっては裁判所から急にお目付け役的な存在として専門家が出てくるものですから、対立することも珍しくありません。親族後見人としては今までどおりに自由にすることはできずストレスが溜まってうちの事務所に連絡してくる方もいます(当事務所をはけ口にするのは止めてくださいね)。また監督人も裁判所から選任されているので、きちんとした監督体制をとっておく必要は当然ありますが、親族後見人とうまくコミュニケーションをとることは至難の業であり、報酬の割には相当ヘビーな業務内容です。報酬が少ないので、監督人は引受けないという先生もいます。
単純に財産が多いとの理由であれば、家庭裁判所から後見制度支援信託を勧められ、銀行に信託すれば監督人が付くことはありません。「なぜ監督人が付けられたのか分からない」という相談がたまにありますが、信託を拒否したか、後見の業務内容の難易度が高いか、後見業務が不適正、この3つに集約されるのではないかと思います。理由がなく監督人が付くことはありませんから、直接担当書記官に確認するのが一番だと思います。
なお、地方で後見申立をした際には、新宮さんが監督人になってはどうですか?と裁判所に言われ、私が監督人に就任したことがあります。
これは、後日遺産分割協議が予定されていたケースです。