成年後見の申し立て手続き
一連の流れ
成年後見制度の申立ては、申し立てから審判まで事案にもよるのですが、申し立ての8割は、おおよそ2カ月では審判に至るようになっています。
その手順としては、まず家庭裁判所への申し立てを行います。
その次に家庭裁判所の調査官による事実の調査が行われます。
具体的な調査内容は、申立人、本人、成年後見人(保佐人・補助人)の候補者が家庭裁判所に呼ばれ後見制度を利用するにあたっての諸事情を聴かれる事になります。後見類型の場合には、本人は裁判所にくる必要はありません。
その際には、約1割の割合で成年後見人の候補者が精神鑑定を受ける場合があり、この場合には、鑑定費用として5~10万円が発生します。
この段階が済むと、いよいよ審判が行われます、多くの場合には申立書に記載された成年後見人(保佐人・補助人)が選任されるケースが殆どですが、場合によっては、家庭裁判所の選任した弁護士や司法書士が選任される事もあります。
これらの一覧の手続きが済むと、家庭裁判所から審判の告知と通知が行われ、裁判所から、審判書謄本を受け取ります。
こうして、東京法務局に、成年後見に関する登記がされて、法定後見が開始されるという運びになります。
以上が、成年後見の申立てから、開始までの一連の手続きという事になります。
成年後見の申し立ての手続きには、必要とされる指定の書類を集める必要があります。
第一に必要な書類は、成年後見申し立て書ですが、これは定型の書式が家庭裁判所にあり無料でもらえます。
次に、本人以外が申し立てる場合には、申立人の戸籍謄本が1通必要になります。
それから、本人の戸籍謄本、住民票、登記されていないことの証明書、そして診断書が1通、それに合わせて成年後見人候補者の戸籍謄本、住民票が、それぞれ1通必要です。
ここに出てきている書類の中の登記されていないことの証明書とは、東京法務局の発行する書類です。
内容は後見開始の審判を受けていないあるいは、既に受けているかを確認する為の証明書になります。
上記にあげたような書類を用意して制度を利用する本人の住所を管轄する家庭裁判所に申し立てを行います。
ただし、必ずしも上記の書類のみではなく、ケースによっては追加される書類が出てくる場合もあります。
成年後見の申し立ての前に住所を管轄する家庭裁判所に問い合わせる事をオススメします。
成年後見の申立てには、一定の費用が掛かる事になります。
その費用の第一としては、印紙代が掛かります。
例えば、後見開始の申立てには、最初に収入印紙代800円が掛かります。
また、後見ではなく、補佐開始の申し立てでは収入印紙代が2400円、同じく、補助開始の申立てにも同額2400円の印紙代が掛かります。
それから、文書の郵送に掛かる切手代が掛かります、こちらは各家庭裁判所によって、金額は異なってくるのですが、おおよそ、3000~5000円が必要です。
次には、登記費用も発生します、成年後見制度では、その結果を登記簿に登記する必要があり、その為の費用として収入印紙代が2600円必要となります。
最期が鑑定費用という経費があります、後見の申立てをする場合には、本人に明らかに、鑑定の必要がないと認められるケースを除いては、医師、その他、適当と思われる人物による精神鑑定を受ける必要があります。
その費用については、事案や鑑定を受ける相手にもよるのですが5~10万円が相場になります。
もっとも、必ず、精神鑑定を受けないといけないわけではなく、実際に鑑定に至るのは、全体で1割程度にしかならないのが現状です。
上記のように、成年後見申立ての費用は、最低でも3400円程度、精神鑑定まで行われた場合には、プラス10万円程度だと考えられます。