成年後見制度を緊急で利用したいとき
私の母親は認知症ですが、自宅で一人暮らしをしています。
訪問販売や新興宗教の人が次々とやってきて、母に契約させようとしています。
既に、不要なものを買わされてしまい、被害額は150万円位になってしまっています。
そして、現在後見制度を利用するため、申立ての準備をしているのですが、どうやら結果が出るまで2ヶ月程度掛かってしまうそうです。
その間に、母がさらに被害にあってしまわないかとても心配です。
なにかよい方法はありませんでしょうか?
家庭裁判所に、後見申立を行ってから結果が出るまで、およそ1~3ヶ月程度かかります。
その間は当然制度の利用はできませんので、その間に何かあった心配という気持ちは分かります。
そこで、そういった緊急の場合にする手続きが存在します。
このような場合、家庭裁判所に対し、「審判前の保全処分」の申立てを行い、後見命令などの保全処分を得ておくことが可能です。
これを得ておけば、後見人になったのと同様の効果が得られ、たとえ訪問販売に引っかかってしまったとしても、後見人としてその契約を取り消すことが可能となります。
審判前の保全処分をする場合、通常行う十分な調査をせずに、仮処分をするので、原則としてご本人から裁判所は聴取しなければならないとしています。
しかし、後見制度を利用するほどの方であれば、この聴取をしても意味がありませんから、この聴取は省略されることもあります(ただし、この省略の規定は「後見」のみであり「保佐」「補助」には、省略する規定はありません)。
審判前の保全処分は、通常の後見申立てを行い、さらに保全処分の申立てを行います。
普通に後見申立てを行えば、1~3ヶ月掛かっていたところを、保全処分も申立てを行うと、数日で仮処分をだしてくれることになります。
緊急を要する場合には、「審判前の保全処分」の制度を利用してはいかがでしょうか。