成年後見登記制度とは
成年後見登記制度は、成年後見人などの権限や任意後見契約の内容などを登記し、登記官が登記事項を証明した登記事項証明書(登記事項の証明書・登記されていないことの証明書)を発行することによって登記情報を開示する制度です。
後見開始の審判がされたときや、任意後見契約の公正証書が作成されたときなどに、家庭裁判所または公証人の嘱託によって登記されます。
また、登記されている本人・成年後見人などは、登記後の住所変更などにより登記内容に変更が生じたときは「変更の登記」を、本人の死亡などにより法定後見または任意後見が終了したときは「終了の登記」を、申請する必要があります。
この「変更の登記」「終了の登記」の申請は、本人の親族などの利害関係人も行うことができます。
登記事項の証明書・登記されていないことの証明書を利用できる例として、成年後見人が、本人に代わって財産の売買・介護サービス提供契約などを締結するときに、取引相手に対し登記事項の証明書を提示することによって、その権限などを確認してもらうという利用方法が考えられます。
また、成年後見(法定後見・任意後見)を受けていない方は、自己が登記されていないことの証明書の交付を受けることができます。
成年後見登記事項および登記されていないことの証明書の交付請求をする場合には、請求者の氏名、生年月日および資格(本人との関係)などを記載した申請書に、収入印紙(手数料)を貼り、必要な添付書面を添えて請求します。
成年後見登記事項の証明書の請求は、返信用封筒を同封して郵送で行うこともできます。
成年後見登記事項および登記されていないことの証明書の交付を請求できる方は、取引の安全の保護と本人のプライバシー保護の調和を図る観点から、本人、その配偶者・四親等内の親族、成年後見人など一定の方に限定されています。
また、本人からの委任を受けた代理人も、本人に代わって成年後見登記事項および登記されていないことの証明書の交付を請求することができます。
本人の配偶者または四親等内の親族が成年後見登記事項および登記されていないことの証明書の交付請求をする場合には、本人との親族関係を証する書面として戸籍謄抄本や住民票等を添付する必要があります。
本人からみて祖父・祖母、孫、叔父・叔母及び、姪・甥など、本人との親等が離れている親族について、本人との親族関係を証明するには、複数の戸籍謄抄本等が必要になることがありますのでご注意ください。戸籍の父母欄又は住民票の記載により親族関係を証明することができます。
法人が成年後見登記事項および登記されていないことの証明書の交付請求をする場合には、その法人の登記事項証明書を添付することが必要となります。
本人から委任を受けた代理人が、本人に代わって成年後見登記事項および登記されていないことの証明書の請求をすることもできますが、その場合には、委任状を添付することが必要となります。
「禁治産」および「準禁治産」の宣告を受けている方は、平成12年4月から成年後見制度が施行されたことにより、それぞれ「成年被後見人」および「被保佐人」とみなされます。
これらの本人、配偶者、四親等内の親族のほか、成年後見人・保佐人とみなされる方などは、後見または保佐の登記の申請ができます。
この登記がされると登記官から本人の本籍地の市区町村へ通知され、禁治産および準禁治産の記載のない新しい戸籍が作られることになります。なお、この登記の申請がされないと、禁治産および準禁治産の戸籍上の記載はそのままとなります。
このように、成年後見制度施行後においても宣告を受けた旨の戸籍の記載や後見人の権限は有効なので、それらの証明には戸籍謄本が使用できますが、成年後見登記制度を利用したい場合には、戸籍の記載を後見登記等ファイルに移す「移行の登記」を申請することができます。
登記終了後、「禁治産宣告」等の記載のある戸籍は再製されることになります。
ただし、心神耗弱以外を原因とする準禁治産宣告については、移行の登記の対象に含まれません。
住所変更等により登記の内容に変更が生じたときに行う「変更の登記」の申請や本人の死亡等により法定後見または任意後見が終了したときに行う「終了の登記」の申請及び「登記事項の証明書」や「登記されていないことの証明書」の交付請求については、インターネットを利用してオンラインにより手続をすることができます。