成年被後見人は遺言書を作成できるのですか?
みなさん、こんにちは。
東京・渋谷の司法書士の新宮信之です。
父は日常会話もままならないというのに、あくまで父の意思で遺言書を作成したいというのです。こんなこと許されるのでしょうか?
お父様は、成年被後見人であっても、遺言作成時に意思能力があれば有効に遺言を作成することができます。
また、民法上は15歳に達していれば、遺言を作成することができるとしています。
しかし、現在お父様は日常会話すら成立しないような状況でしたら、遺言能力はないといっていいかもしれません。
ただ、遺言というのは、その人の最終の意思を表したものですから、できるだけ広く認めるべきものです。
遺言によって第三者の財産を侵害したり、傷を付けたりすることはありませんから。
実際に、お父様に遺言能力があって、有効なものだと見極めることは非常に困難です。
成年被後見人というのは、「判断能力が常にない状況」をいいますので、遺言を作成したときも、判断能力はなかったのではないか思われてしまうのが常です。
しかしながら、いわゆる「まだら認知症」で一時的に判断能力が回復する場合があります。
自筆証書で遺言を作成する場合、医師2人以上の立会いが必要で、判断能力がない状況ではなかった旨の記載をしてもらうことになります。
これであれば、有効な遺言ということができます。
ですから、仮にお父様がご自身だけで遺言書を作成していたら、それは有効ではありません。法
律の規定に従って、医師の立会いと能力の一時的な回復があれば問題ありません。