法人も後見人となることができる
個人でなく法人も成年後見人になることができるとされています。
後見人には本人の親族や弁護士、司法書士などのイチ個人がなることが多いのですが、福祉協議会や福祉公社などの法人も後見人になることが可能なのです。
他にも、司法書士法人や弁護士法人ももちろん可能です。
法人が成年後見人になることのメリットは、集団が持つ組織力を十分に活用することができるという点にあります。
もちろん具体的に後見の仕事を行っていくのはその職務にたずさわっているイチ個人ですが、集団の中の1人として複数の人と連携を取り協力しながら責任を果たしていくことができるのです。
後見の仕事内容が複雑で多岐にわたる場合でも、組織の中の複数の人間が力を合わせて対応をすることができるので、必要に応じて効率よく仕事を進めていくことが可能になります。
また個人に成年後見を依頼している場合、その人が健康上の理由などで責任を果たせなくなると職務が滞ってしまい、後見を受けている人の生活に支障が出て来る場合もあります。
しかし福祉協議会などの法人に後見を依頼しておくと、担当者が病気になったり死亡してしまったりした時にも、他の人が交代して仕事を受け継いでくれるので安心です。
個人に頼むよりも長期的に安定した援助を受けられるのが、大きな利点の一つだといえるでしょう。
判断能力が十分とはいえない認知症や精神障害、知的障害を持つ方々の権利をしっかりと守っていくために、成年後見制度がはじまりました。
しかし、身寄りや親族がいないため後見人として適切な人を見つけることができなかったり、組織的に本人の財産や資産管理を行う必要がある場合には、法人による後見も認められています。
社会福祉法人などが成年後見を行うと、長期的に継続して本人に対する援助を行っていくことができます。
知的障害などで本人がまだ若年である場合、年配の親族や弁護士などに後見をしてもらうと、後見人が病気になったり死亡をしてしまった時に選定をし直す必要が起こってくるのです。
また本人の資産が多く複雑な場合には管理していくのは大変ですが、法人ならば複数の人間が連携を取りながら職務にあたっていくことができるので、後見の仕事がスムーズに進み仕事の負担も軽減されます。
しかし成年後見のためには本人との信頼関係が最も大切なので、組織の中で後見の担当者が代わることによって信頼を得ることが難しくなる場合も考えられます。
また集団で職務にあたるため、援助の内容に対する判断や決定に時間を要したり責任の所在がはっきりしなくなったりすることがないように注意が必要です。
認知症の高齢者や知的・精神障害者など判断力が不十分なかたがたを法的に保護し支えていくために、成年後見制度が普及し始めています。
後見人には親族または弁護士、司法書士、社会福祉士などが選定される場合が多いのですが、場合によってはNPOや社会福祉団体などの法人が組織的に後見を行うこともできます。
成年後見の仕事は1度引き受けると、何年もにわたって継続してきめ細かな援助を行っていかなければなりません。
後見を必要とする障害を持っている人が青年である場合には、何十年もにわたる業務が必要になることもあります。
個人の後見人は健康上の問題や一身上の都合により後見人としての役目を継続できなくなる場合もありますが、法人後見の場合には担当する人がかわっても、組織的に後見業務を続けていくことができるため、複数の人が協力しながら柔軟に状況に対応していくことが可能です。
後見人引継ぎのための、法的な手続きも必要ありません。
また成年後見を専門に行っている法人の場合にはたくさんのケースを担当してきた経験と実績があるため、後見のノーハウやスキル、困難な案件に対する対応にも実力を持っており、個人後見と比較してもより質の高い援助が可能になる場合もあります。