精神障害と成年後見
もともと成年後見制度は認知症などの高齢者が不利益を被らないよう制定されたものですが、精神障害の方に適用されるケースも多くなっています。
そもそも成年後見制度とは、利用者の権利や尊厳を尊重しつつ、判断が困難である法的な手続きや契約を補助し、財産の管理を行うというものです。
高齢者の方や認知症の方はその利用に対する理解も進んでおり、当事者である本人も積極的に協力されることが多いのですが、精神障害の場合にはいくつかのハードルが存在することも事実です。
精神障害の定義は様々ですが、症状以外では日常生活の中も十分行える方も多くその判断は非常に複雑になります。
しかし、客観的に見てその方個人での判断が法的な観点や財産管理の観点から不利益が多いと思われれば、制度の利用が望ましいと言えます。
こうした判断は精神科医など専門家の診断が必要となりますが、詐欺やトラブルに巻き込まれる危険を避けるためにも早急な対策が必要になります。
こうした成年後見制度の利用には事は身内や親族などではなく、社会福祉士や社会福祉法人などの事業所の担当者が行う事が多いですが、個人と深い付き合いと信頼関係が必要なため利用にはまだまだ多くのハードルが存在することも事実です。
高齢化社会に突入し、お年寄りが詐欺などの被害に合うニュースが増えてきました。
こうしたお年寄りは認知症などを患い、正常な判断能力を失っている事も多く、理解が出来ぬままに高額な契約などを行っているケースが多いというのが実情です。
しかし、こうしたトラブルは何も高齢者に限ったことではなく、精神障害などを患っている若い方も多く巻き込まれています。
知的障害と異なり精神障害は後天的に発生することが多いので、家族や周囲の方々に気づかれない内に正常な判断能力を失っている危険性があります。
そうした状況下でも法的な契約や財産の処理など個人としての責任も伴うので、トラブルに巻き込まれる事も少なくないのです。
そうした事態を避けるために進んでいるのが精神障害者の成年後見制度の利用です。
成年後見制度とは主に正常な判断が難しい高齢者をサポートするために用意された制度で、高額な契約や法的な手続きなどを、本人に成り代わって代理人が行うというものです。
当然個人的に契約や法的な手続きなどを行えないので不便にはなるのですが、代理人が安心して任せられる人物であるならば事前に様々なトラブルを回避することが可能なので、犯罪の多い現代では必須の制度であるといえます。
万が一ご身内の方がこうしたトラブルに巻き込まれることのないよう、定期的な連絡を心がけて下さい。
精神障害という症状に分類される病気は様々なものがあります。代表的なものでは統合失調症や高次脳機能障害などがありますが、不安障害や妄想状態など個人個人によってかなりの異なりをみせる病気でもあります。
こうした精神障害は見た目上は区別がつかず、また本人も正常な判断を失っている事も多いため周囲の人間のサポートや気付きが非常に重要になります。
成人した個人ならば法的に手続きを行う権利や契約を行う権利、また財産を自由に取り扱う権利などを当然有していますが、こうした病気を持つ方々はこれらの権利があるゆえにトラブルに巻き込まれるケースも多くあります。
正常な判断能力を失っているにも関わらず、高額な契約や財産の譲渡が可能であるということは、当然悪意ある第三者に利用されると大きな被害となります。
実際にこうした病気で苦しむ方々をターゲットにして金銭を奪ったり、高額で不当な契約を結ばせたりといった事件も多数報告されています。
こうした事件を避けるために最近では成年後見制度を利用する事が多くなっています。
成年後見制度とは、こうした病気を持つ方々に変わって社会福祉士などが代わりに法的な手続きや財産の整理などを行うということです。
これによって個人の自由が制限されることもありますが、犯罪に巻き込まれる確率も格段に下がるので、現代では広く必要とされている制度です。