被後見人の家族への情報開示
みなさん、こんにちは。
東京・渋谷の司法書士の新宮信之です。
成年後見人は、毎年後見事務の報告を裁判所に対して行わなければなりません。かつこれで足ります。家庭裁判所は後見人を監督しなければならないため、毎年の事務報告を後見人に課しています。そして、相談者の方は、きちっとそれをやっていますので、何の問題もありません。
なお、後見監督人がいる場合には、監督人に対し情報を開示する義務があります。
被後見人の家族は、後見人がどのようなことをして、現在の財産状況はどうなのかを把握しておきたいということもあります。
自分の親などの家族についてまったく分からないというのも不安だと思います。
また、被後見人の家族とは、後見事務を円滑に行うためにも、連携を取っていたほうがよいこともあります。
そこで、後見人の裁量で、後見事務の状況を開示することは問題ありません。
今回の長男のように、利害関係のある第三者は裁判所の記録を閲覧謄写の請求をすることができ、裁判所は相当と認めるときには情報を開示することになります。
あなたは、被後見人の長男に対し報告しなければならないという義務規定はありませんので、任意に報告しても構いませんし、情報を開示することが好ましくない場合やはばかれる事情などがある場合には、裁判所に対して、閲覧謄写するよう請求してくれと対応するのが良いでしょう。
あとは、裁判所に判断を委ねることになります。
今回は、家族同士の話ですが、第三者が後見人となっている場合には、被後見人の家族と話し合いを行いながら、どのように身上監護をしていくのかを相談しながら進めていきます。
その際、ある程度情報は共有していたほうが、スムーズに話し合いが出来ると思いますし、その方が被後見人自身にとってもより良い監護がなされることのほうが多いかと思います。