遺言書で指定できる未成年後見人と未成年後見監督人とは
親権者が亡くなった場合などに未成年者に親権を行使できる者がいなくなってしまった際、代わりに未成年者に対して財産管理や監護教育を責任を持って適切に行なう役目を負う者のことを、未成年後見人といいます。
例えば離婚をして子の親権を得た者が亡くなってしまった場合にも、もう片方の離婚した親に子の親権が移るわけではなく、親族などが裁判所に対して未成年後見人申し立てを行うことになります。
同時に残った親権を持っていない親が親権変更申し立てを行った場合には、裁判所が未成年者に適した方法を審議、決断をします。
ですが、親権を持った者が遺言書の中に後見人指定をしていた際は、遺言者が死亡した後にただちに指定されたものが未成年後見人の任に就くことになります。
ただし、親権自体が移るということはありません。
就任後は十日以内に、各自治体の役所に就任の届出をしなくてはなりません。
そして就任後は、未成年者が成年するまでの財産管理や身上監護を適切に行うことが求められます。
後見が終了するのは未成年者が成年になったときで、その際にこれまで責任を持って管理を行ってきた財産等を、本人へと引き継がなくてはなりません。
未成年者の子供が遺された場合を考えて、遺言書作成時に後見人を指定しておくことをお勧めします。
未成年後見人を指定できる権利がある者は、遺言で未成年後見監督人のほうも指定が可能です。
未成年者に対して最後に親権を行使できるもので、かつ管理権を有している者が未成年後見監督人を指定できるので、例えば、父と母の共同親権によってそれに服している未成年者については、父と母のどちらもが遺言で未成年後見監督人の指定を行う資格はありません。
未成年後見監督人の指定というのは、遺言でだけのみ指定と見なすことができるため、未成年後見人の指定を行うときには、一緒に未成年後見監督人の指定も行うのが通常です。
未成年後見監督人はつまり、未成年後見人自体を監督する役目を持っている人です。
後見人が未成年者に対してきちんと財産管理や身上監護等を行っているのかを監督することが未成年後見監督人の務めです。また、勝手に未成年者の財産などを使ってしまうような不正を働かないように監督することも役割ですので、その性質上、未成年後見監督人は未成年者の兄弟姉妹や直系の血族が務めることはできないようになっています。
未成年後見監督人も、就任後十日以内に自治体への届出が必要です。また、正当な理由がある場合には家庭裁判所を許可を得ることで辞任をすることができます。この場合も十日以内に任務終了届けを提出しなければなりません。