認知症の母が所有する建物を売却したい【法定後見】
【ご相談者様の状況】
相談者様の母親が、10年前に脳梗塞になり、時間や方向感覚が失われる失見当や記憶障害などを発症し、血管性認知症となってしまっていました。また、母親は10年前から施設に入所しており、今後も自宅へ戻る見込みは全くないという状況でした。自宅は誰も住んでいないため老朽化が進み、また、長年放置されていたため近所からのクレームがあったことから、どうすればよいかという相談でした。
【当事務所のサポート内容・結果】
母親所有の自宅は、長年誰も住んでいないため老朽化し、管理ができていないためご近所にも迷惑が掛かっていました。また、固定資産税や今後の修繕費などを考えると、売却して現金化し、それを母親の施設費用に充てるのが最善のことだと判断しました。
しかし、相談者様が息子といえども勝手に母親の自宅を売却することはできませんので、後見申立を行うことになりました。候補者は相談者様としました。依頼者様は平日とても忙しい方でしたので、戸籍など必要書類の収集が困難ということもあり、当事務所ですべて取得を代行しました。
その後、家庭裁判所に後見申立手続きを行い、家庭裁判所で受理面接を行いました。東京家庭裁判所では、後見申立があった際、どのような経緯で後見申立を行ったのかなど、簡単な受理面接をいうものがあります。裁判官が出てくるわけではなく、事務方の担当者が出てきて、色々と聞き取りが行われます。聞き取りと言っても身構えるようなものではなく、申立書類の内容の確認が行われる程度で、難しいことも聞かれません。
受理面接が終わり、無事に相談者様が後見人として無事に選任されました。
その後、相談者様が後見人として不動産売却の契約を行うことになるわけですが、今まで母親が居住していた自宅を売却する場合には、家庭裁判所の許可が必要となります。「居住用不動産の処分許可申立」を裁判所に対して行い、許可を得てから契約を行うことになります。当事務所で「居住用不動産の処分許可申立」を代行して行い、こちらも無事に許可が得られましたので、売却することができました。なお、なぜ居住用不動産を売却する場合に、裁判所の許可を得なければならないかといいますと当然理由があります。自宅というのは生活の本拠地ですから、そこを失うというのはご本人にとって、大変影響のある法律行為といえます。本当に自宅を売ってしまって困らないのかを裁判所の方で判断し、問題がなければ許可を出すということになります。
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