意識不明の兄の入院費支払のため、後見申立て行ったケース【法定後見】
【ご相談者様の状況】
先月、相談者様の兄が居酒屋で酔っ払って帰宅する途中、転倒した際に頭を強く打ち、脳内出血でそのまま入院してしまい、現在も意識不明の状態ということでした。
兄はメガバンクに銀行口座を持っていることは分かっているが、いくら預金があるのかも分かりません。とりあえず入院費は相談者様が立替えて支払っているが、自分自身の生活も余裕がないので、なんとかしたいというご相談でした。
【当事務所のサポート内容・結果】
ご相談者様のような状況では、成年後見制度を利用しなければ解決できない典型的なケースです。成年後見人を選任してもらい、その後見人が財産の調査を行い、入院費の支払いの手続きを行うことになります。ご兄弟同士でどこの銀行にいくら預金があるかなど日ごろから教えあっている兄弟はいないと思います。そこで、入院費の支払いに困ってしまうということは少なくありません。相談者様ご自身の体調が良くなく、事務的な手続きが苦手なため、成年後見申立と後見人の就任依頼もありました。
入院費の支払いは当然毎月発生するため、成年後見申立は早急に行う必要がありました。後見申立に必要な医師の診断書の取得に時間が掛かりましたが、その他はスムーズに準備を行うことができました。
その後、希望どおりに当職が後見人に選任されました。後見人選任審判書は、当事者に送達されてから2週間経過後にその審判が確定することになります。よって、選任審判書が届いてすぐに成年後見人として金融機関に行っても対応してくれません。2週間経過後に家庭裁判所から法務局に、この人が後見人になりましたという登記を行うことになります。その登記が完了してから「後見登記事項証明書」を法務局で取得して、金融機関に行くと財産の開示や出金の手続きを行ってくれます。
今回のように急いで財産調査を行う必要がある場合には、選任審判書が到着後2週間経過したら、家庭裁判所へその審判が確定したことを証する書面「確定証明書」を発行してもらいます。その確定証明書と選任審判書を金融機関に持っていくと、後見登記事項証明書を持っていかなくても、諸手続きが可能です。今回は急いでいましたので、確定証明書と選任審判書を持参して手続きを行いました。無事に預貯金も発見できて、そこから入院費の支払いを行うことができました。
しかし、預貯金がそう多くあるわけではなく、後見人就任してから、1年後には生活保護の申請を行い、生活保護の受給を受けることになりました。入院中ですので、お金の支給があるわけではなく、医療費が免除されることになりました。
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