身寄りのいない知的障碍者の後見人になって欲しい【法定後見】
ご相談者様の状況】
障碍者施設の担当者からのご相談でした。15年近くその障碍者施設に入所しているご本人には、ご両親とご兄弟がいました。ご本人に何かあった場合には、施設の担当者がご両親やご兄弟と連絡を取り合い承諾を得た上で、各種手続きを施設担当者が代わりに行っていました。
しかし、15年近く施設に入所している間に、ご両親とご兄弟の全員がお亡くなりになってしまいました。そこで、各種手続きを行うにあたって、承諾を得るご家族がいなくなり困ってしまっているということでした。また、ご家族の死亡に伴う相続手続きも行わなくてはなりませんでした。
当事務所は、後見業務を特化して行っていることと、当該施設で他の方の後見人をしていたということもあり、相談を受けることになりました。
【当事務所のサポート内容・結果】
まずは、兎にも角にもご本人の意思が一番大切なので、かなり遠い施設ではありましたが、翌日その施設へ行きご本人と面談を行いました。ご本人の意思を確認するというのは難しい状態でしたので、後見申立を行ってくれる親族を探すことにしました。後見の申立ては4親等内の親族しか行うことができません。4親等内に親族がいるかを探して、居ないあるいは居ても協力を得られない場合には、市区町村長による申立になるなと思っていました。役所の障害福祉課の担当者とも打ち合わせを行い、場合によっては区長申立てを行ってもらうように準備も同時に進めていました。
幸いなことに、ご本人とはほとんど面識はありませんでしたが、後見申立に協力してくれる従兄弟が見つかりました。といっても、最初は手続きの手間や費用が掛かることについて、かなり難色を示していました。その従兄弟の方のご自宅へ複数回行き、後見制度についての説明や後見申立に協力頂くようにお願いしました。手続きの手間については、当事務所ができることは全てやってしまいますので、従兄弟の方にはほぼ負担なく手続きを行うことができました。
本来であれば、後見申立を行った後、受理面接というものが家庭裁判所で行われます。従兄弟の方のご自宅から管轄の家庭裁判所までかなり遠かったので、その受理面接については、ご負担を掛けてしまうなと考えていました。しかし、当該家庭裁判所ではコロナ禍であるため受理面接を省略するという措置をとって頂きました。案件によっては、原則どおり受理面接は行っているようで、特別な措置だったといえます。
申立から2週間ほどで、当事務所を後見人に選任した旨の審判書が届きました。東京の裁判所ではなかったため、手続きに通常よりも時間が掛かりました。
後見人選任後に、ご両親・ご兄弟の相続きを行いました。財産状況を知る人が誰もいなかったため、郵便物や自宅内の書類を調査しました。また、メガバンクや自宅近くの銀行・信金等に口座がないかを調査しました。財産調査に概ね1年程度掛かりましたが、その後無事に相続手続きも完了しました。
ご本人は施設で今も楽しく生活されています。また、施設担当者も後見人が付いたことにより、事実上行っていた財産管理や役所の手続きなどを任せることができて、安心されていました。
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