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兄弟に知られずに後見の申立をしたい

90歳になる母親が認知症のため自分で財産管理ができていない状態です。私は東京に住んでいるのですが、母親と兄は大阪に住んでいて、比較的近くに住んでいます。なお、母親は一人暮らしです。
兄は、どうやら母親の判断能力が衰えて何も文句を言わないことを良いことに、実家に寄っては少しずつ現金や目ぼしいものを取っていっているようです。 私が近くに居られれば良いのですが、仕事があるためそういう訳にもいきません。 そこで、成年後見の申立を行い、第三者の専門家に後見人になってもらい、財産が減ってしまうのを防ぎたいと思っています。
兄に後見手続きを進めていると知られてしまうと、文句を言われたり、妨害を受けたりするのではないかと思っています。できれば、兄には知られずに手続きを進めたいのですが、可能でしょうか?

裁判所の手続き上、兄に知られずに後見申立の手続きを行うことは、困難だと思ってください。後見申立書類の記載方法によっては可能だと思いますが、専門職の立場からいうと非常に困難です。

後見申立の添付書類には、親族の同意書があります。出来るだけもらえる親族には同意書をもらいますが、基本的にはご本人の推定相続人となる者の同意書があれば問題ありません。

今回、兄は母の相続人ですから、基本的には同意書をもらわなければなりません。しかし、相談者の兄が後見申立の反対をしていることが明らかである場合には、当然に同意書をもらうことは出来ません。このような場合であっても、後見の申立自体が出来なくなるわけではなく、裁判所は申立を受理し、その後に、親族である兄に対して意向を照会する文書がいくことになります。したがって、兄に知られずに手続きを行うことは非常に難しいのです。

しかし、後見の手続き自体は、親族に反対している人がいたとしてもすることが出来ます。なぜなら、後見制度というのは、相続人や親族のためのものではなく、利用する本人のための制度だからです。後見人が選任されれば、結局のところ兄には知られてしまうわけですから、申立の段階で知られてしまっても特段問題はないのです。

今回、もともと第三者の後見人を希望しているので問題ありませんが、親族間で揉めているような状態だと、候補者である親族が後見人になるケースは少なく、本件と全く関係のない第三者の専門家(司法書士や弁護士)が選任されるケースが多いです。

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