金融機関における本人確認
成年後見の業務を行う上で最もストレスを感じるのが金融機関の対応についてです。これについては、他の弁護士の先生や司法書士の先生もブログなどで書かれており、みなさんお怒りであることが分かります。
銀行でまず後見人の届出をする際、私が持参する書類は、私の運転免許証、職印、職印証明書、後見登録事項証明書、司法書士会員証の5点セットです。私の場合、後見登録事項証明書に記載されている後見人の住所は「事務所の住所」となっています(個人の自宅住所を記載している先生もなかにはいます)。事務所住所と個人住所の繋がりを称するために司法書士の会員証も持参します(というか、いつも持っています)。なお、証券会社に後見届出を行うには、本人のマイナンバーカードまたは通知書も必要となります。
後見人の届出をする際、たまにイラっとするのが、本人の保険証の原本を確認させて下さいとか、そのコピーを持ってきてください、といわれることがあります。被後見人の本人確認のためと言っていますが、それを持っていく理由が全く分かりません。財産管理だけの後見人をしている場合は、保険証等は親族後見人が持っていますので、わざわざ持参又は郵送してもらうことになります。後見人の届出時に求められることは少ないですが、口座開設・口座解約時にほぼ求められます。常に保険証のコピーは一緒に持参することにしていますが、保険証見てどうするのかといつも思います。保険証の原本を確認したところで、その人の生存確認にもなりません(死亡していても保険証を役所に返却せずに手許に置いておくことも可能なため)。まして、口座解約に関しては、口座を開設する際に本人確認を銀行側が行っているはずであり、改めて提出させる理由はなおさら見つかりません。
金融機関には、この本人確認の手間とやたらと時間が掛かるのを早急に何とかして頂きたいと思います。私が後見人になった場合には、被後見人の口座は高額な定期預金があるなどの場合を除き、基本的に2つ、3つの口座に集約して、業務を行いやすいようにしています。手間の掛かる金融機関やダラダラと時間の掛かる金融機関は、真っ先に解約の候補になります。もちろんご本人の意向が一番大切ですから、ご本人に確認してからの話にはなります。
余談ですが、なれていない行員だと後見届出の際、持参した通帳の口座以外ないか調査をお願いしたところ、個人情報なのでご本人にしかお伝えできませんといわれることもあり、これにはさすがにキレました。。後見人が就任後まず行うことの一つが財産調査です。それを拒否されるとはまさか思いもよらず、銀行業務のプロ相手に成年後見人の権限について一から説明する羽目になりました。