複数で後見人をすることはできますか?
多くのケースでは、成年後見人として選任されるのは1人となっていますが、法律上後見人は1人と決まっているわけではありません。そのため、複数選任される場合もあります。
複数後見のなかでも一番多いのは、親族と専門家が後見人なるケースです。親族が後見人となることを親族後見人、専門家が後見人となることを専門職後見人ということがあります。単純に親族後見人と専門職後見人が選任される場合もありますし、財産管理面を専門職後見人が行い、身上監護面を親族後見人が行うこともあります。これは、裁判官がどのように選任するかによって変わってきます。また、前者のように役割分担が決められていなくても、親族後見人と専門職後見人が話し合って、財産管理と身上監護をそれぞれ分担することも可能です。もちろん役割分担せずに常に2人で話し合いのもと、後見業務を行っても構いません。
なお、財産管理とは、不動産の管理、預貯金の管理、株などの有価証券の管理などを行います。一方、身上監護とは病院に関する手続き、施設入所・退所に関する手続きやリハビリに関する手続きといったことを行います。身上監護というと、実際に介護を行うようなイメージをもつ方もいるかと思いますが、あくまでも身上監護の法的な手続きを代理して行うことをいいます(親族が実際に介護を行ってはいけないという意味ではなく、話し相手になってあげるなど親族としてできることがあれば是非ともして頂きたいと思います)。
専門職後見人が関与するケースとして、身上監護面を親族後見人が行い、財産管理+身上監護を専門職後見人が担当することもあります。当事務所でもこの形式で選任されているケースが数件あります。専門職後見人の関与をより必要だと判断した場合に、このようなかたちで親族後見人と専門職後見人が選任されます。
最後のケースとして、親族後見人が複数選任されることもあります。自分1人だけだと心配だとか、後見人となる人が高齢の場合(感覚的には70歳位)、被後見人と離れて住んでいる場合などで、親族が共同して2人選任されることがあります。なお、後見申立の際、後見人の候補者として、70歳を超える人を立てる場合には、別の人を立てるように言われるか、複数後見を勧められることがあるようです。
以上のように、後見人が単独でなければならないということはなく、本人の状況や後見人となる方の状況を総合的に判断して裁判所から複数後見人を勧められる、あるいは複数後見人となります。
当事務所が後見人となっている約8割が親族後見人との共同後見です。親族の方から信用して頂いているからこそだと思っています。なお、親族後見人の方からの満足度は自分で言うのも変ですが、かなり高い評価を頂いております。