成年後見の登記事項証明書の取得方法
ホームページで色々と記事を書き始めて2年位になりますが、一昔前と比べれば身近になったとはいえ、まだまだ成年後見という制度はそこまで認知されていないのかなと思います。司法書士の仲間内でも成年後見の業務を行っているのは、3分の1以下という感じです。さらに片手間ではなく、本腰を入れて業務を行っており、成年後見の実務に精通しているのはさらに低く10分の1位のような気がします(感覚値です)。実際問題、成年後見業務は我々司法書士の主力業務である「登記業務」に比べれば、全然儲からないので仕方ないのかなとも思います。儲からない割には、業務量が多く、最後は本人の死に立ち会うわけですから、なかなか参入しづらいという理由もあります。
全くの余談ですが、年に4、5件程度、ご家族の方から後見人となっている弁護士の先生と連絡がつかないので、○○について代わりに教えて下さいとか、弁護士の先生はお忙しくて聞けないので、代わりに○○について相談したいといった電話があります。当然ですが、詳細が分からないままいい加減な助言はできませんので、すべてお断りしています。また、基本的に当事務所はこれから成年後見制度を利用しようとしている方へのサービスを行っていますので、ご理解のほど宜しくお願いします。
さて、皆さんが成年後見人として申立を行った家庭裁判所から選任の通知書が郵送されてきたら、まず行わなくてはならないのが、法務局で「後見登記事項証明書」の取得です。法務局?後見登記事項証明書?という感じですよね。
後見登記事項証明書とは、被後見人等の住所・氏名・生年月日・本籍、後見人等の住所・氏名が記載された後見人であることを証明するための書類です。このほか、保佐や補助の場合には、代理権目録・同意権目録も記載されています。法務局というと、不動産の登記簿を取る所というイメージがあるかと思いますが、法務局の内に後見登録課という部署があり、そこで発行してもらうことができます。
「後見登記事項証明書」で検索すると法務局のサイトが一番上に出てきます。
http://houmukyoku.moj.go.jp/tokyo/static/i_no_01.html
ここから申請書をダウンロードすることができます。法務局に行く前に自宅で記入したほうが楽だと思います。各都道府県に法務局の本局があります。本局のほかに各地に支局・出張所があります。注意して頂きたいのが本局でしか発行してもらえませんので、近くだからといって支局・出張所に行ってしまわないようにしましょう。各都道府県にある本局まで遠いということもあるかと思います。場所にもよりますが、1時間、2時間かけて取得しに行くというところもあるかと思います。
なお、開庁時間は平日8:30~17:15で、待ち時間は10分~15分程度です。ただし、東京法務局の場合、時間帯によっては20,30分かかることもありますので、時間は余裕をもっておきましょう。
次に、郵送による後見登記事項証明書の取得について書いていきます。郵送による場合、「東京法務局後見登録課」のみ取り扱っていますので、北海道の方も東京法務局へ郵送して下さい。通常ですと、後見登記事項証明書が返送されるまで、7~10日程度かかります。急ぐ場合には、速達で郵送しましょう。気をつけることは、申請書に550円分の印紙を貼ること、返信用封筒の同封を忘れないこと、また返信用封筒に宛名の記載・切手を貼ることを忘れずに行って下さい。
なお、誰でも後見登記事項証明書を取得できるわけではありません。取得申請する人が後見人等であるかどうか確認する必要があるため、免許証・保険証等の本人確認書類のコピーを同封することも忘れずにしてください。
郵送請求で分からないことがあれば、東京法務局の後見登録課へ電話して聞くとよいでしょう。
(03)5213-1360
なお、後見登記事項証明書には法律上有効期限というものはありませんが、金融機関、證券会社、保険会社ではそれぞれ内部規定により発行から3か月以内とか6か月以内といった有効期限を設定しているところが多いです。金融機関等に提出する場合には、事前に有効期限を確認するとよいでしょう。