成年後見人を交代することはできますか?
「成年後見人を交代させることはできるでしょうか?」
1、2ヶ月に1回程度このような相談を受けることがあります。事情は人それぞれです。例えば、当初自ら進んで後見人となったものの日頃の財産管理や定期報告が面倒くさくなったり、仕事が忙しくなったり、家族が病気になったりして、他の人に後見人となって欲しいと希望する場合。他には、専門家が後見人となった場合で、後見人の業務内容に不服があるケースなどがあります。
前者は、事情によっては交代が認められる場合があります。後見人自身が高齢、病気となった場合や家族の介護や仕事で遠距離になってしまうなど合理的理由があれば、後見人の辞任を家庭裁判所は認めてくれる場合があります。単純に辞めたい、後見人の業務が面倒くさいので辞任したいといった理由では認められません。何年も経つと忘れてしまうかもしれませんが、これは後見人に選任される際に説明を必ず受けますのでご注意下さい。被後見人が亡くなるまで、後見人としての業務は続きます。
後者は、基本的には認められません。その専門家が違法行為・不適切行為を行っているなどの事情がない限り認められません。後見申立時からその専門家が関与していれば、申立の背景を理解し、家族との信頼関係もあって後見人を代えたいというミスマッチは少ないと思いますが、申立時から関与していないほうが圧倒的に多いのが現状です。被後見人の家族としては、誰が後見人になるのか分からないというのは、非常に心配なところでもあります。なかなか被後見人本人のためという視点ひとつとっても専門家らから見る視点と家族から見る視点は違っていたり、難しいものです。できるだけその専門家とコミュニケーションをとるようにとアドバイスしても、家族が拒否している場合もありますし、専門家があなたは関係ないからといって話し合いできないこともあります。専門家が後見人の場合は、まず交代はできないと考えて頂ければと思います。
当事務所の相談で一番多いのが、後見人となっている弁護士さんと連絡がつかない、まったく家族の話を聞いてくれないので後見人を交代させたいというクレームです。これは、一方当事者であるご家族の話だけしか聞いていないので、当事務所として良いか悪いかなどの判断はできません。弁護士さんの場合、争訟性のある案件を担当することがありますので、ご家族の攻撃の的になることはよくあるのです。そのため一般的な回答しかすることはできませんので、ご理解ください。
なお、後見人の交代といっても、「辞任」と「選任」の一連の流れをいうだけで、「選任」については申立時と同様に裁判官が誰を選任するかの決定権をもっており、これには不服申し立てはできません。