後見人就任後に銀行へ提出すべき書類
後見人就任後に銀行へ提出すべき書類
当事務所のホームページをご覧になっている方は、これから後見申立を行おうとしている方と既に後見人に選任されている方の両方の方がいらっしゃると思います。今回の記事では、既に後見人に選任され、これから後見人として業務を行っていこうという方向けに書いていきます。また、今後後見申立を行い、後見人に就任予定という方も知っておいて損はありませんので、ご一読いただければと思います。
まず、後見人に選任され後にしなければならないのが、金融機関へ「私が後見人になりましたよ」という届出です。銀行だけでなく、信託銀行、信用金庫、信用組合やJAバンクなど各金融機関へ届出を行う必要があります。
【金融機関のどこへ行けば良いのか?】
原則として、口座をもっている金融機関の取引店へ行くことになります。メガバンクなどはどこの支店でも届出を受理してくれますが、信用金庫、信用組合や地銀などは口座を持っている取引店まで来いといわれることが多いです。取引店でないと情報がないからというのが理由です。この記事を書いているのは2017年ですが、高度情報化社会が叫ばれるなか、これは非常にお粗末なことだと思います。支店同士で情報共有すらできていないなんて。。利用者にメリットのない地銀や信金などは今後ますます淘汰されていくことでしょう。
私が後見人になっている方も地銀や信金などに口座をもっているので、1時間かけて取引店までいき後見人の届出を行うということも珍しくありません。また、住所変更など届出事項に変更がある場合なども同様にその取引店まで行かなければなりません。ご本人の了解が得られれば、解約しメガバンクに口座を作るというのが望ましいでしょう。わざわざ取引店まで行く時間が無駄ですし、ご本人が負担する交通費も削減できます。ついでに文句だらけで申し訳ないですが、後見人用のキャッシュカードが作成できない地銀や信金は終わっています。1万円を出金するために1時間掛けて取引店に行きますか?振込みをするために交通費1,000円掛けて行きますか?もう絶望しかありません。
【金融機関へ持参すべき必要書類は?】
必ず金融機関に確認して頂きたいのですが、一般的な必要書類について書いていきます。
・後見登記事項証明書
・通帳及びキャッシュカード
・新たに届出する銀行印
・後見人等の身分証明書
・後見人等の印鑑証明書及び実印
「新たに届出する銀行印」と「後見人等の実印」は同じものとしたほうが印鑑が一つで済みますので簡便です。
なお、「後見登記事項証明書」に変えて「選任審判書及び確定証明書」でも問題ありません。「選任審判書」は、後見人に選任された際に裁判所から特別送達で郵送されてくる書類です。「確定証明書」は聞きなれない書類ですよね。後見人の選任審判というのは、裁判官が審判した日にその内容が確定するわけではありません。後見人が選任審判書を受領してから2週間経過すると、その審判が確定するのです。その審判が確定したことを証明する書類が「確定証明書」となるわけです。確定証明書を発行してもらうには、裁判所へ申請書を提出します。150円の印紙を申請書に貼付する必要があります。まだ若かりし頃に確定証明書を取得しに東京家庭裁判所に行ったことがありました。申請書に150円の印紙を貼付することを知らずにそのまま提出すると、女性の裁判所書記官に指摘された記憶があります。「すみません。150円の印紙が必要なのですね。すぐに売店で購入してきます。」と書記官に伝えると、「あっったり前でしょ!」と言われたのでよく覚えています。知らなかった私が悪いのですが、友達でもないのにその言い方はないだろうと少しだけイラっとしてしまいました。やはり公務員は最強です。国に守られていますから。話がだいぶ逸れてしまいました。
【金融機関で掛かる時間は?】
金融機関への後見人の届出はいつも時間が掛かってイライラするのですが、メガバンクは慣れているので比較的早いです。早いといっても20~30分程度は普通に掛かりますし、まず整理券をとってから順番が来るまでの時間も掛かります。
個人差といいますか店舗差といいますか、支店ごとの事務処理能力は結構差があります。当事務所は渋谷ですので、渋谷の支店では後見専門の窓口があったり、かなり銀行員のスキルも高く、スピーディーに処理してくれます。
一方、信用金庫や地銀などは取引店まで行かなければならない上、ほぼ全員が不慣れなため1~2時間は覚悟したほうが良いでしょう。まず、取引店へ行き、支店担当者の準備に20~30分掛かり、マニュアルや本部へ連絡しながら作業を進めていきます。最後すべて書類の記入が終わった後、確認のため20~30分待たされるというのがよくあるパターンです。可能であれば、取引店へ行く前日までに後見人の届出を行いたいので準備をお願いします、と伝えておくと多少は時間が短縮されるかと思います。事前に準備していても遅いのが金融機関です。
今まで多くの金融機関へ後見人の届出をしてきましたが、もっとも遅かったのがJAバンクです。JAバンクは数店舗に届出を行いましたが、どこの店舗も一律遅いです。また、通常口座解約は10分、遅くても20分というのが相場です。しかし、JAバンクでは、まず1時間ほど掛かりますと言われ、椅子からずり落ちました。まあまあ、少し大げさに長めに言っているんだろうなと思っていましたが、実際には1時間半掛かりました。地域密着でお年寄りから好かれているだけにもったいないですね。もう行きたくないです。
※あくまで私の経験上のハナシです。すべてがこうだと思わないでくださいね。
皆さんはどこの金融機関へ届出を行うのか分かりませんが、「どの店舗へ」「何を持って」「どれくらいの時間がかかるのか」を聞いた上で、後見人の届出を行うとよいでしょう。
後見人は金融機関で待たされる、というのも仕事の一つということでしょうかね。こればっかしは慣れません。毎回イライラしています。