ご本人死亡後の財産の引継ぎについて
本人の成年後見人として、親族、友人や市民後見人など専門職(弁護士・司法書士・社会福祉士)以外の方が就任していることも多いと思います。
そこで、本人が死亡した場合の財産の引継ぎについて書いていきたいと思います。
成年後見人としての業務は、選任されてから基本的には本人が死亡するまでとされています。成年後見人の辞任や本人の判断能力が復活したことにより成年後見人の業務が終了することもありますが、今回それは考えず、本人が死亡した場合についてご説明していきます。
本人の相続人が成年後見人となっていれば、財産の引継ぎという問題は発生しません。本人の死亡と同時に引継ぎが完了しているためです。
成年後見人が本人の相続人でなかった場合には、相続人へ財産を引継ぐ必要があります。
財産を引継ぐまでの流れを確認していきましょう。
1.
本人の死亡を知ったら、裁判所へ本人死亡の連絡をします。死亡診断書や死亡したことが分かる戸籍の写しを裁判所へ提出します。死亡したことが分かる戸籍の取得には本人が死亡してから1週間から10日ほど掛かりますので、死亡診断書の写しが手っ取り早いと思います。
2.
相続人の調査を行います。後見申立の際に、親族関係図が提出されていますが、申立人が作成したものですので、改めて戸籍を取得し、相続人が誰なのかを把握する必要があります。元後見人は財産引継ぎのため戸籍等を取得することができますが、取得の方法が分からない、戸籍の読み方が分からないという場合には、弁護士や司法書士に戸籍の取得を依頼しても構いません。戸籍等の取得費用(実費)は、当然相続財産から清算することになりますし、専門職に依頼した場合の「相当額」についても相続財産から清算することも可能だと思われます。自分では相続人の調査は無理だなと思ったら、専門職に相談されるとよいでしょう。
3.
相続人の調査が完了したら、未清算の後見事務費等を清算するなどして本人の相続財産を確定させ上で、相続人へ相続財産の詳細を通知します。
4.
相続人のうちの一人に相続財産を引継ぎ、引継書を受領します。そして、その引継書を裁判所へ提出すれば終了となります。なお、終了の登記も忘れずに行って下さい。
なお、相続人間で揉めていて相続人のうちの一人に引継ぎができない場合や相続人と連絡が取れない場合など、引継ぎに困難な事情がある場合には、担当書記官へ必ず連絡をして、どうすればよいか指示を仰ぎましょう。通常であれば、相続財産管理人の選任申立を行い、相続財産管理人が選任されたら、その者に引継ぎで終了となります。
裁判所へ本人が死亡した旨の連絡した場合、「事務連絡」として、「本人が死亡してから6ヶ月以内に相続人へ財産を引継いで下さい、もし6ヶ月以内に引継ぎが困難な場合には、担当書記官へ連絡するように」という書類が郵送されてくるので、必ずその書類を確認するようにして下さい。相続財産管理人の選任申立も通常の方であれば行ったことがないと思いますので、その場合もどのようにすればよいか担当書記官の指示を仰ぐようにして下さい。
以上が、本人の死亡から財産引継ぎまでの簡単な流れとなります。