診断書と共に必要な「本人情報シート」とは
平成31年4月から診断書の書式が新しくなり、「本人情報シート」の運用がはじまりました。
といっても、普通の方は「本人情報シート」って何?という感じではないでしょうか。
まず、「本人情報シート」の説明の前に、診断書の書式が新しくなりますので、その書式をご確認下さい。
http://www.courts.go.jp/tokyo-f/saiban/kokensite/moushitate_seinenkouken/index.html東京家庭裁判所HP
そんなに大きな変化はありませんが、「3 判断能力についての意見」の記載が以下のとおり変わりました。
□ 契約等の意味・内容を自ら理解し、判断することができる。
□ 支援を受けなければ、契約等の意味・内容を自ら理解し、判断することが難しい場合がある。
□ 支援を受けなければ、契約等の意味・内容を自ら理解し、判断することはできない。
□ 支援を受けても、契約等の意味・内容を自ら理解し、判断することはできない。
以前は順番が逆になっており、2番目から順に補助・保佐・後見類型である旨の記載がありましたが、それが削除されました。順番が逆になったのは、一番上にある項目にチェックする医者が多かったからなのかも知れません。
さて、新たにはじまった「本人情報シート」についてです。同じく、上記のリンクから書式を見ることができますので、確認してみて下さい。
「本人情報シート」の運用がはじまったのは、ご本人のことをよく知っている主治医であれば適切に診断書を書くことも可能ですが、ご本人のことをよく知らず、診断する際の1回しか会ったことがないとすれば、ご本人の状況が適切に診断書に反映されていない可能性もあります。そこで、ご本人を日頃から支援している福祉関係者に、ご本人の生活状況等に関する情報をシートに記載して頂き、医師が診断書を書く際の資料としていこうとするものです。内容としては、ケアマネさんなどがご本人を把握するために作成されているものと比較すると簡易なものですが、あまりに複雑なものにすると制度自体が形骸化され、誰も書いてくれないということにもなりかねませんので、いい塩梅なのかもしれません。
ヘルパーさんや、ケアマネさんなど福祉関係者の支援を受けていれば、その方にご記入頂くようにお願いして下さい。なかには、在宅で家族以外の支援を受けていないという場合には、裁判所に提出する必要はありません。この「本人情報シート」は医師の診断書作成の際の資料とするばかりではなく、裁判所にもその写しを提出し、裁判の審理にも活用されていきます。ただし、提出は任意ですので、頼めるような人が誰もいない場合には、なくても問題はありません。
「本人情報シート」には作成者の氏名・連絡先等を記載する欄がありますが、個人名を記載してもよいですし、ケアマネさんが所属する会社名や組織名などでも構いません。というのは、個人名で裁判所に提出する書類に記載するということに抵抗感を覚える方もいらっしゃいますので、その場合には、会社名や組織名でも構いません。裁判所から不明点等があったときに、問い合わせができる程度の記載は必要だと思われます。
手続きの流れをまとめておきます。
まず、「本人情報シート」を福祉関係者に記入してもらい、その後「本人情報シート」を持参して医師に診断書を作成してもらいます。そして、「本人情報シート」は写しを、診断書は原本を裁判所へ提出することになります。
成年後見申立の手続きとしては、1つ手間が増えてしまいましたが、ご本人のための専念後見制度ということを考えると当然必要なことだと思います。