成年後見の手続き検討している方へ
成年後見という言葉を、最近は新聞やニュースなどで見聞きすることが増えたと思います。成年後見制度というのは、認知症の方、知的障害のある方、精神障害のある方の預貯金や不動産などの財産管理をするためであったり、または、介護施設への入退所のために後見人が変わりに行う制度をいいます。
認知症の方、知的障害のある方、精神障害のある方に代わり、法律により一定の権限を成年後見人等に与えて行うようにすることよって、認知症の方、知的障害のある方、精神障害のある方を保護するとともに、支援するという制度のことをいいます。
この制度ができる前には,民法において、「禁治産」「準禁治産」という制度がありました。
この制度ができた背景には、認知症の方や知的障害のある方、精神障害のある方などが、一般生活を送る上で、さまざまな法律行為(たとえば、契約や遺産分割など)をする際において、判断能力といったものが不十分であることから、その法律行為をすることによって、どのようなことになるのか、どのような法的効果といったものが発生するのか、自分が行ったことにより生じた行為の結果に対する判断ができなかったりする場合であったり、不十分であったりすることがありました。
成年後見制度は、これ以前の「禁治産」や「準禁治産」といった民法の制度が、不十分であったことなどに対応する形で誕生した制度です。
認知症の方などを保護するということは、その必要性に程度の違いがあるはずです。なぜなら、それぞれの人にはそれぞれの事情といったものや、状況が同じであるはずがないからです。
そうでありながら、従前の民法による規定は、そのようなことに対するものが型にはまったルールで規定されていたため、実際の状況に柔軟に対応できていないものだったのです。
これでは、本当に必要な処理がされないといったことが多くありました。
また、以前の場合、その対象となる方に対する規定が、精神的状況が重い方を対象としていたことから、認知症の方で軽い症状の場合は、対象外とされてしまうことがあったのです。
これでは現実の状況に即していません。実際の要求に応える必要があったわけです。
また、「禁治産」「準禁治産」の宣告をされた方は、そのことが、その方の戸籍に記載されるという規定になっていたため、この「禁治産」「準禁治産」という宣告をされてしまうことにはマイナスな印象があったことも事実です。
他にも、たくさんの問題点があったことから、任意後見制度というものができました。
この制度は、認知症、知的障害、精神障害などの精神上の障害が原因で、その方が自分自身で判断する能力が不十分になってしまったようなときのことを考えておくことにより、その方本人が指名して任意の代理人を決めておくことから始まります。
そして、その方の財産管理、介護、施設への入退所の契約などといった身上監護といったものに関する事務全般、またはそれらの一部などを、その任意の代理人に任せるために、あらかじめ代理権を付与する委任契約というものを結んでおきます。
そして、裁判所が任意後見監督人というものを選任します。
裁判所が選任するとその時点で、さきほどの契約が効力を持つことになるという制度なのです。
そして、戸籍への記載をしないかわりに登場したのが、成年後見登記制度ということになります。この成年後見登記制度は、後見・保佐・補助といった法定後見の内容、任意後見制度を利用する方に関する事項、成年後見人の権限や任意後見契約の内容について登記します。
そして、その内容を後見される方や成年後見人などの限定した方からの請求によって、登記事項証明書(登記官が発行します)によって明らかにしておきます。