成年後見のよくあるご相談4
■成年後見制度を利用すると戸籍に載ったりしませんか?
成年後見制度が制定される前のいわゆる「禁治産者」「準禁治産者」といわれていた時代には、そのことが戸籍に記載されていました。しかし、現在の制度では、戸籍や住民票に記載されることはありません。成年後見制度を利用しているかどうかは、守られるべき個人情報だからです。
戸籍や住民票には記載されませんが、法務局に登記されることになりました。不動産の登記と異なり、不動産の登記簿は誰でも取得することが可能ですが、後見登記事項証明書は本人や成年後見人など非常に限られた者にしか請求することができませんので、プライバシーは守られているといえます。
■後見の申し立てにどのくらいの時間が掛かりますか?
申立を行う管轄の家庭裁判所にもよりますが、東京家庭裁判所であれば、1ヶ月~2ヶ月程度かかります。家庭裁判所の込み具合によっても代わってきますし、提出書類に不備があればその分余計に時間が掛かります。また、ご本人の親族宛に裁判所から照会が行く場合には、さらに時間が掛かることがあります。
当事務所にご依頼頂いたケースですと、ほぼ書類の訂正や追加書類を求められたりということがありませんので、長くても1ヶ月で審判が下ります。今までで一番早いケースですと、10日ほどで後見人選任の審判がでたというケースもありました。東京家庭裁判所ではありませんが、地方でいうと2日で審判が下りたところもあります。恐らく、人全国の中で東京家庭裁判所が一番件数が多いので、時間も掛かっているのだと思います。お急ぎの場合であれば、専門家に手続きの代行を依頼するのが望ましいでしょう。
■申立は自分でもできますか?
はい、ご自身で行うことも可能です。これは相続税申告や訴訟と同じで、ご自身で行うことも可能です。ただし、相続税申告や訴訟を税理士や弁護士に依頼しないという方は少数だと思います。また、当事務所にご相談に依頼した方の95%以上が手続きの代行のお申込みをしています。中には依頼するお金がないのでご自身で行うということはあります。
当事務所では、2019年時点で400件近くのご相談を受けてきましたが、相談者様自身で行うのは困難だと考えています。特に、後見人の候補者をご家族としている場合には、申立書類の記載方法によって後見人になれない場合もあります。そこは、記載方法をどうすれば良いのか、どのような書類を準備すれば良いのかが分かっている専門家にお任せしてしまった方が、精神的にもかなり楽だと思います。
なお、無料相談後にご自身で申立手続きを行いますと、お帰りになった方も、後日やはり自分では一向に準備が進まないので代行をお願いしたいと、再度事務所にお越しになることがあります。時間が十分にあり、特に急いでいないという方は、ご自身で行うことを検討されても良いかもしれません。
■後見人は、なんでもしてくれるのですか?
後見人がどのような事をしてくれるのかというご質問をよく頂きます。後見人の業務は「財産管理」と「身上監護」に分けることができます。「財産管理」では、金融機関での口座開設・解約や預貯金の入出金、投資信託や株式などの証券の管理、不動産の管理などを行います。「身上監護」では、入居施設との契約やヘルパーとの契約などを行います。
成年後見人は、法律行為は行いますが、買い物に代わりに行ったり、入浴をさせたり、話し相手になったりといった事実行為は行いません。このようなことは、家族がするか、後見人がヘルパー等を手配することとなります。
もっとも、当事務所では、生活保護を受けている方の後見人をしていますが、入院先の病院からティッシュ・食事用のエプロン・とろみ剤など日用品が足らなくなったら購入するように連絡があります。そうすればその都度買いに行きますし、ご本人にお会いすればできるだけお話をするようにしています。当事務所が後見人となっている多くのケースでは、ご本人に面会するのは誰もいないという方が多いのです。なので、行けば喜ばれますし、ご本人の状況を確認する意味でもできるだけ会話をするようにしています。