最近増えてきた成年後見の鑑定について
成年後見の申立を行う際には、医師の診断書が必ず必要となります。診断書は、各家庭裁判所によって書式が異なりますので、事前に管轄の家庭裁判所で書式をもらうか、HP上でダウンロードできる場合には、ダウンロードの上、医師に記入してもらいましょう。
さて、この医師の診断書はあまり詳細に人を診断するというものではなく、人の判断能力をざっくりと4段階(「後見」「保佐」「補助」「それ以外」)に分けて行います。以前も、鑑定については記事で書きましたが、最近鑑定を受けるケースが多くなってきました。以前は、10件中1件あるかないかという割合でしたが、最近は2、3件位あるように感じます。
とりわけ、家庭裁判所の取り扱いが代わったという情報も入っていないので、単純に個々の案件の内容によるものだとは思いますが、おそらく家庭裁判所はここを見て判断しているのだろうと思われる箇所があります。
東京家庭裁判所の「申立事情説明書」欄にある本人の状況で会話をすることができますかという質問項目があります。後見類型で申立を行った場合、「会話をすることができない」だと鑑定が入ることはなく、「あいさつ程度のやりとりはできるが,会話として意味が通じない。また は通じないことが多い。」にチェックをつけて、後見での申請だと鑑定に回される割合が高いのかなと思います。長谷川式認知症テストの点数や他の申立書類の内容にもよると思いますが。
あとは、実際に申立の際に行う面談で、家裁担当者が後見相当ではないかもしれない、との心証が形成された場合にも鑑定を受けるよう言われます。
鑑定の費用は、医師によっても異なりますが、5万円~10万円が相場となっています。少なくない金額ですので、申立の際には鑑定が必要になるかもしれないということはしっかり認識しておきましょう。診断書を書いてくれた医師が鑑定も行ってくれ場合には、比較的費用は安めな傾向があります。診断書を書いた医師が鑑定は引き受けられないという場合は、家庭裁判所指定の医師の鑑定を受けることになります。この家庭裁判所指定の医師の鑑定料は高いです。裁判所と医師がどう掛かり合いがあるのか深くは詮索しませんが、もう少し費用は押さえて欲しいものです。
以前は、当事務所が申立を行った案件で、鑑定を求められたことがありますが、ご本人には100万円を切る財産しかなかったため、鑑定費用15万円の出費は非常に大きなものでした。そこで、担当の裁判所書記官と掛け合ったところ鑑定を回避することができました。法律上、原則として鑑定は受ける取り扱いですから文句を言えることではありませんが、裁判所も柔軟な対応をしてくれることもあります。