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被後見人が死亡したあとの後見人報酬の受取り方法

 成年後見人を業務として行っている弁護士、司法書士や社会福祉士の方にとって、成年後見人として報酬がきちんと受け取れるかどうかというのは、非常に関心の高い問題だと思われます。かくいう私も被後見人の方が亡くなった後の報酬の受け取り方には苦労しています。被後見人は死亡しているので、その相続人の方から報酬をすんなりとお支払い頂ければよいのですが、中にはお支払い頂けない場合もあります。私は今まで2件報酬を受領できなかったことがあります。いずれも私が後見人に就任して半年以内に被後見人が亡くなったという案件です。恐らく相続人からすれば、後見人として半年足らずしか仕事をしていないのだから支払う必要はないだろうと思っているのかもしれません。相続人の方に理由を直接尋ねたわけではありませんが、たぶんそうだろうと思います。あとは、後見制度自体に良い印象を持っていない方だったというのもあります。後見業務をやったことがある方はお分かりだと思いますが、後見人就任してからの半年というのは本当にやることが多く忙しいです。決して何もせずに業務が終了したわけではないのです。むしろ、一番大変な業務だけやって報酬がもらえないというのは、結構精神的にこたえます。

 本題に話を戻しましょう。

  被後見人が死亡すると、死亡した時点で成年後見は終了となります。それで全てが終わるわけではなく、事後的な後見業務を行う必要があります。前回の定期報告からの財産の計算を行い、裁判所へ終了報告を行います。そして、それと同時に報酬付与の申立てを行います。そうすると、前回の報酬の算定期間の翌日から被後見人の死亡までの後見業務に対して報酬の決定がされます。「被後見人の死亡まで」と書きましたが、死亡後に火葬を行う、退院の手続きを行うことなどはよくある話で、その場合には、当該業務に対して報酬の決定がされます。

 裁判所で報酬の決定がされた後に、被後見人の財産から報酬を差し引いた残額を相続人へ引き継ぐことになります。うまい具合に手元に現金があれば、このように報酬を確保することができます。後見業務に慣れている人であれば、被後見人が死亡する前にある程度まとまったお金(50~100万円)を出金しておきます。経験上100万円を超えると裁判所から文句をいわれます。「多すぎるだろ!」と。相続人から葬儀費用が100万円掛かるので、それにプラスアルファ50万円で合計150万円を出金しておいて欲しいと言われ、良かれと思って150万円を出金すると、裁判所からお咎めを受けることになるので注意が必要です。また、これも後見業務でよくあることですが、主治医から、もういよいよ危ないので覚悟しておくように、と緊急で連絡が入ることがあります。この連絡を受けてすることは、今まさに食べようとして手に持っていた480円のモスチーズバーガーを置くことと、手許現金の確保です。すぐにATMへ走り50万円程度を出金します。しかし、その後1週間経っても、1か月経っても主治医からの連絡はありません。こちらから様子を確認しにいくと、持ち直したというのです。手許に50万円をそのまま保管しておくわけにはいきませんので、銀行口座へ戻します。持ち直してよかったと気を抜いていると、再び主治医から「今度こそ危ない!」と緊急の電話が入ります。奮発して購入した850円の焼肉カルビ弁当を食べようとした割りばしを置き、再びATMへ走り50万円を・・・とこれを繰り返していると、通帳には50万円の入出金履歴が6回もあります。定期報告の時期になり、通帳のコピーを裁判所へ提出すると、定期報告書をチェックしている裁判所書記官からこの入出金は何か?と必ず指摘されることになります。そのため、通帳には「危篤のため50万円緊急出金!」と鉛筆でしっかりと書いておきます。当事務所の業務日誌には出金した理由をきちんと書いてありますので、わざわざ通帳に書く必要なんてありません。通帳に書くのは、裁判所書記官に対して電話して来ないでねという合図なのです。そうすれば、よほど暇な書記官でなければ電話してくることはありません。

 ちなみに、相続人の同意を得ずに勝手に手許現金から報酬を受領することに問題がないかという点については、特に問題はありません。裁判所の報酬付与の審判で確定した額を受領するだけであり、相続財産に対して共益費として総財産の上に第一順位の先取特権を有すると考えられているためです。なお、裁判所としては、報酬は相続人に対して請求するか、相続人全員の同意が得られた場合に手許現金から受領するのが相当かつ穏当であるといっています(別冊判例タイムズ36 後見の実務)。そりゃそうだろうなという感想です。

 さてさて、被後見人が死亡する前にお金を出金できるとは限りません。22時に仕事を終えて、自宅に戻りお風呂に入って、晩酌しながら夜ご飯を食べて、暖かいお布団に入りウトウトし始めた一番幸せな時間に、病院から「たった今死亡しました!」と連絡を受けても、時すでに遅しです。翌朝すぐにコンビニのATMへ向かいお金を出金してもよいものでしょうか。被後見人が死亡してからまだ6時間も経っていません。まだ出金してもよさそうな気がします。ここから教科書的な説明に入るわけですが、被後見人の死亡によって成年後見は終了します。同時に財産を管理する代理権も喪失します。そのため、銀行預金の払い戻しをする権限もなくなります。銀行に対して被後見人が死亡した旨を伝えていなければ預金口座は凍結されず、払戻しは可能です。しかし、専門職としては絶対にNGです。

 報酬付与の審判を受けても手許に現金がなければ、報酬をすぐに受領することはできません。そうすると、相続人に対して請求していくことになるわけですが、支払ってくれない場合にはどのようにすればよいでしょうか。報酬付与の審判は債務名義として認められていないようなので、直ちに相続財産に強制執行することはできません。相続財産に対して仮差押えをした上で、訴訟をしていくことになるかと思います。非常に面倒くさいです。後見人の報酬は何百万円といったように高額になることはほとんどありません。多忙の中、報酬を受領するという当たり前のことに時間と労力を割かなくてはなりません。そのまま諦めている専門職の方は少なくないはずです。

 後見人として行う業務で悩んだり苦労するのは全然問題ありませんが、「報酬を受領する」ために時間を割き、労力を使うは本当にしんどいと思います。被後見人が死亡する時のことをあらかじめシミュレーションしておくのは結構重要なことです。

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