• 渋谷駅より徒歩7分
  • 面談予約はこちら
面談はこちら 無料相談受付中

03-3486-0557

受付:平日9:00~19:00 土日祝日・夜間要相談

被後見人の火葬・埋葬手続き

 被後見人が亡くなるというのは、ある日突然やってくるものです。しかし、人はいつか必ず亡くなるわけですから、その日に備えてしっかり準備しておくことが大切です。

 今回は、被後見人の火葬・埋葬について書いていきます。

 私が後見人をしていた場合であっても、原則として火葬は被後見人のご家族にお願いをしています。といいますか、被後見人が死亡した時点で後見人の業務は終了しているわけですから、やりたくてもできないというのが正確です。

 ところが、被後見人に家族がいない場合もあります。また、家族がいたとしても疎遠で連絡がつかなかったり、連絡がついたとしても被後見人と仲が悪かったり、「面倒だからあんたの方で勝手にやってくれ」と言われることもあります。火葬を執り行うと、その人が火葬の費用を負担することになりますから、お金の面で拒否される方もいます。あとは、被後見人の妻や夫がいる場合、当然高齢であることが多いですから、妻や夫自身が自分で執り行いたくてもできないというケースもあります。

 上記のような理由から、やむを得ず私が火葬を執り行うことがあります。「やむを得ず」行うものですが、もう正確に何回火葬をしたかは覚えていませんが、20回はやっているのではないかと思います。収骨(骨上げ)時の火葬場の職員の説明は大体覚えています。特にお決まりの「喉仏」の説明は覚えてしまいます。仕事としてやっているせいか一歩引いた感じで「この斎場の職員は丁寧だな」「体は小さかったけれどお遺骨はしっかりしているな」など思いながら参加しています。火葬炉に入る前にお別れの時間があります。故人と最後の時です。被後見人と個人的な関係があったわけではなく、気の利いた言葉を掛けることはできませんが、「お疲れさまでした」と言って手を合わせるようにしています。

 <火葬を(元)後見人として執り行うと決まったら>
 成年後見人は、被後見人が死亡した場合において、被後見人の遺体の火葬又は埋葬に関する契約の締結を行うには、裁判所の許可を得る必要があります。

 まず、「成年後見人」とあるので「保佐人」や「補助人」は裁判所の許可を得ることはできません。なぜなら、保佐人や補助人には死後事務に関する権限がそもそもありません。条文でいうと民法873条の2(成年被後見人の死亡後の成年後見人の権限)の規定は、保佐人・補助人には準用されていないのです。考えてみれば、保佐人や補助人には裁判所が認めた代理権や同意権が与えられているだけですから、死後事務は権限外とされているのは当たり前ですね。被保佐人や被補助人が死んだら、保佐人や補助人の権限が増えちゃった、というのはまずいのです。そのため、保佐人や補助人は、火葬する家族が誰もいなかったとしても、他の業務を投げ出して超特急で火葬の段取りをするという必要はないのです。ただ、火葬は相続人とトラブルになる可能性もあるし面倒だから「火葬しなくてラッキー!」でよいのでしょうか。民法697条には「事務管理」という規定が定められています。義務ではありませんが、この事務管理の規定を根拠に火葬を執り行うことは可能です。被後見人と異なり、被保佐人や被補助人は自分の意思を表示することができます。火葬は保佐人に行って欲しい。費用はできるだけ抑えて、誰もよばなくていい、など希望を伝えることもできます。保佐人や補助人は市町村長に丸投げも可能ですが、本人の意思に沿って最後はまでご支援してもよいのではないでしょうか。

 長くなりましたが、もうひとつ「火葬・埋葬」とは何かを書いていきます。火葬は、いわゆる直葬と言われるもので葬儀や葬式を含みません。埋葬は、土葬のことです。つまりご遺体を火葬せずにそのまま土に埋めることになります。学校の日本史で教わったように、大昔は「屈葬」とか「伸展葬」といった土葬が主流でした。しかし、場所がない、ウイルス感染などリスクがあるせいでしょうか、現代日本ではあまり聞きません。土葬を行ったことはありませんが、一応土葬の許可申立も可能です。許可されるかどうかは分かりませんが。

 火葬に葬式や葬儀も含めると金額が非常に高くなります。東京都で簡素な火葬を行おうとしたら30万円程度が最低ラインでしょう。内訳としては、斎場に10万円、葬儀社に20万円という感じです。東京都の火葬料は段々値上がりしており、2024年4月時点では75,000円です。市町村で異なりますが、埼玉県では7,000円というところもあります。ちなみに、昔はありませんでしたが、燃料費高騰に伴い燃料費が別途加算されます。あとは収骨容器代や遺骨バッグ代も掛かります。火葬の待ち時間に喫茶店を利用すればその費用も発生します。後見人が行うのは火葬だけであり、葬儀や葬式を執り行うことはしません。あくまで火葬又は埋葬に関する契約とその履行だけです。火葬の費用は被後見人の遺産から支出できますが、葬儀や葬式については支出することはできません。後見人が良かれと思ってした葬儀や葬式の費用は、喪主である後見人の負担となってしまいますので、注意が必要です。
 補足ですが、火葬されたあとご遺骨はどうするの?という疑問が出てきます。裁判所としては「火葬又は埋葬」に準ずるものとして、許可を得た上で行ってもよいとしています。

 <家族から火葬を依頼された場合> 
 家族から火葬の依頼を受けることもあります。被後見人の配偶者が単に足腰が悪いだけで、コミュニケーションがしっかり取れるということもあります。また、遠方に住んでいる家族から、「火葬は必ず行くので段取りだけお願い!」と言われることもあります。このような場合には、葬儀社への依頼を家族に代わって私が行います。代理で葬儀社へ依頼するだけですから、火葬の契約者は家族となります。費用負担については、契約者である家族とするのがよいと思います。家族間(相続人間)で揉めることがなければ、相続財産から支出してもよいでしょう。

 <普段から火葬を行う準備とイメージをしておこう>
 被後見人がなくなったら後見人として自分が火葬を行なわなければならない、と事前に分かっている場合があります。そのような場合には、事前にできることはしっかり準備しておきましょう。

1.火葬又は埋葬の許可申立書の準備
 あまり難しい書類ではありませんが、事前に記載できるところは記入しておくとよいでしょう。火葬又は埋葬の許可申立は、当たり前ですが被後見人が死亡したあとに裁判所に提出します。そのため、許可書が裁判所から事務所に届くまで数日掛かります。火葬は被後見人の死亡日から1週間以内に行われますので、多くの場合火葬後に許可書が届くことになります。火葬前に許可書が欲しいという場合には、郵送ではなく直接裁判所に提出するか、たったいま許可申立書を速達で裁判所へ郵送したぞと裁判所へ電話しておくと若干時間短縮になると思います。まあ、たとえ郵送であったとしても裁判所は即日許可書を発送してくれるので、あまり変わらないかもしれません。

2.葬儀社を決めておこう。
 あらかじめ葬儀社を決めておくとスムーズです。後見人が依頼するケースに慣れている葬儀社とそうでない葬儀社があります。あらかじめ自分は後見人として依頼したいと伝えておくと葬儀社も慌てずにすみます。あと、火葬のプランを考えるのと見積書をもらっておきましょう。火葬のプランは最も簡素なのでよいと思います。被後見人の資力に応じてお花の量を変えるくらいでしょうか。
 死亡届を役所に提出する際に、後見登記事項証明書が必要となります。有効期限の制限はありませんが、1通は手元で保管しておきましょう。後見人からの依頼が初めての葬儀社の場合、後見登記事項証明書が死亡届時に必要ということを知らないこともあります。言われなくてもこちらから葬儀社へ渡すのがベストです。
 葬儀社には被後見人の名前や入院先・入所先施設を伝えておきます。ここまでやっておけば、いざというときに慌てることはありません。夜中の2時に病院から「いま被後見人が亡くなったぞ!」と連絡があっても大丈夫です。翌朝の対応でも構わないのですが、私の場合はすぐに葬儀社へ電話を入れます。そして、葬儀社に病院へご遺体の引き取りをお願いします。病院には〇〇葬儀社に依頼したので、〇〇葬儀社から病院に連絡がいきますと伝えます。これで私の役目は終わりです。病院から死亡の連絡があってから、早ければ1時間、遅くても2時間後には、ご遺体の引き取りに葬儀社が病院に行ってくれます。私は布団の中から出ることなく、電話だけで仕事が完了します。しかし、実際にはこんなにうまくいくのは稀です。病院からいきなり死亡連絡がくるのではなく「心拍数が下がっています」「血圧、酸素濃度が下がっています」など前段部分があるのです。そのため携帯電話を持ったまま布団に入って待機しているわけですが、数時間後に亡くなる場合もあれば、翌日亡くなる方もいます。家族旅行中に気がついたら、病院や施設から着信が20件入っているなんてこともあります。旅行中にもかかわらずずっと電話で病院や施設と話をしていると、だいぶ白けた雰囲気になってしまいます。まあ、いつものことだと家族には一応理解はしてもらっています。

<死亡診断の立会について>
 病院や施設で死亡した場合、「死亡診断に立ち会いますか?」と必ず聞かれます。私は最初の頃は立会いをしていましたが、立会いすることに意味がないことから、現在は行っていません。死亡診断は医師が行うもので、そこに後見人として立会う意味がないのです。私が立会うことで蘇ることがあれば別ですが。
 中には立会いを強く要求してくる病院や施設もあるようです。

 <火葬は午前中の早い時間に行う>
 私が火葬を行う場合は、私一人だけの時もありますし、家族・親族・友人が数名参加することもあります。いずれにしても参加者は数名のことが多いです。私一人の時は、斎場が遠くても午前9時スタートで行います。まず、午前9時は斎場がガラガラです。朝一番で火葬を行おうという人はほとんどいないのです。火葬の間、喫茶室で一人被後見人との過去を思い出しながら待機しています。うるさくなくて良いのです。午前11時~午後2時頃が火葬のピークです。多くの人で混雑します。ずっと泣いているグループもあれば、同窓会のように楽しくおしゃべりしているグループもあります。
 火葬炉の前に並ぶとき、私だけの列と、ずらっと20・30人並ぶ列ができることがあります。そんなとき、私一人しか来ていないのが亡くなった被後見人に申し訳なく思えてくるのです。だから、私一人の時には、誰もいない朝一番に火葬を行うのです。
 なお、ご家族やご親族が来る場合には、あらかじめ希望を伺った上で時間を決めています。

相続のご相談は当センターにお任せください

  • ご相談者様の声
  • 当事務所の解決事例

よくご覧いただくコンテンツ一覧

  • ホーム
  • 選ばれる理由
  • 事務所紹介
  • スタッフ紹介
  • 料金表
  • アクセス
  • 無料相談
  • 問い合わせ
お客様の声を大切にします
  • 渋谷区Aさん…

    私の場合、出張で地方にたびたび行っており、相談する時間が土日しかありませんでした。 土曜日に始めて電話をしたら即日相談可能ということだったので、 すぐに事務所に行きました。 仕事の都合上なかなか…

  • 港区Kさん …

    ある弁護士の所に相談に行ったのですが、 結構費用が高かったので、新宮先生にお願いしました。 その他立地が良かったこともあります。…

  • 川崎市Sさん…

    相続と後見の両方でお世話になりました。 相続が複雑だったのでトータルで半年以上お付き合いいただき ありがとうございました。 先生には後見かんとく人にもなっていただいているので、 この先何年もお…

  • 千葉市Tさん…

    成年後見の相談で先生の事務所に伺いました。 私の場合、母は後見を利用できませんでしたので、代わりに遺言書の作成をお願いしました。 たびたび、電話をさせていただいたのですが、丁寧な説明をその都度して…

お客様アンケート一覧についてはこちら
相談・解決事例
Contact
 
PAGETOP